以前、「投資不動産を購入した際に消費税の還付を受ける方法」という記事を書かせていただいておりました。
これは、かいつまんで言うと、設立して2年間寝かせた法人に、3年目で投資不動産(住宅用)を取得させ(消費税法上「高額資産の仕入等」と言います。)多額の消費税還付金を受取り、その後免税事業者の届出を提出して、高額資産取得3年後の調整計算を免れる(すなわち投資不動産を購入後、非課税売上である住宅家賃の比率が高い場合、3年後に還付を受けた消費税の一定割合を返金しなければならない、という状況を免れる)という手法です。
ただし、これについての税制改正が行われ、平成28年4月1日より、高額資産の仕入等を行った課税期間から、その課税期間の初日より3年を経過した日の属する事業年度まで、免税事業者の届出ができないことになりました。
その結果、高額資産取得3年後の調整計算の対象とならざるを得ず、還付を受けた消費税の一定割合を、不動産取得の3年後に返金せざるを得なくなります。これは、明らかに税務当局が消費税還付を封じ込める意図で行った改正と思われます。
3年後の返金額を少しでも抑える手法としましては、「課税売上割合」を増やす方法があります。なぜなら、返金額は不動産取得後3年間の課税売上と非課税売上の割合によって決まるからです。3年間の非課税売上割合が高いほど、返金率が高くなりますので課税売上の割合をどれだけ増やせるかにかかってきます。
課税売上割合を高くするためには、以下の方法があります。
@ 不動産を購入した法人で、まったく別の事業を行う。
A 不動産を購入した法人で、住宅用以外の投資不動産を購入する。
B 不動産を購入した法人で、金の売買を繰り返す。
@は、サラリーマン大家さんの場合だと、お勤めをしながら副業で売上を作るのもなかなか難しいかと思われます。奥様が趣味で事業を始めるということも考えられますが、すぐにそれなりの売上を作れるかどうかは、ご本人の才覚次第ですので何とも言えないところです。
Aは、オフィス用、店舗用、駐車場などの賃貸不動産を購入する方法です。これらの賃貸料は、住宅用の場合と違って、賃貸収入が消費税上「課税売上」として取り扱われます。ただし、課税売上が年1000万円を超えると、そもそも免税事業者になれなくなるので、小ぶりの投資で抑えなければなりません。
Bは、金の売買が消費税上「課税売上」として扱われることを利用するのですが、売買で損失を出さないように注意する必要があります。
そもそも、消費税還付を狙うとローン審査を通さない金融機関を有りますので、上記のような手法を使って無理をしてまで消費税還付を目指すべきか、と言うと正直微妙な気がいたします。
課税当局の締め付けは年々厳しくなっており、申告時に消費税還付に成功しても、後々の税務調査で覆される可能性がゼロとは言えませんので、あまりここにエネルギーを注ぐのは得策ではないのかもしれません。
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