2013年02月05日

連結納税のメリットとデメリット

 
 今回の記事は、連結納税のメリットとデメリットについて取りまとめてみました。連結納税を採用しても税率に特に優遇はありません。それなのに導入に踏み切る要因となるものは何でしょうか。

【連結納税導入のメリット】
@ 損益通算
 連結納税のグループの中で、赤字の会社と黒字の会社がある場合、会社間の赤字と黒字を相殺できるというのが、連結納税を導入する際の大きなメリットになります。グループ会社が複数ある場合、毎年赤字続きでなかなか浮上できない子会社がどうしても出てきます。その一方で、黒字を計上している会社からは、普通に法人税がキャッシュアウトしていきますので、もしこれらの会社の損益を通算できると、納税額を削減でき、キャッシュ・フローの改善要因となります。
 (制限)
 相殺できる部分は、「法人税」(国税)部分のみ。住民税と事業税(地方税)部分については、相殺する仕組みがなく、単体で確定申告をした場合と同様になります。
 また、連結納税が適用される前に子会社で蓄積された青色欠損金は、連結納税上繰越欠損金には取り込めません。以前はそのまま切り捨てになっておりましたが、現在は緩和措置が図られ、その子会社自身が捻出する利益との相殺のみ可能となりました。

A 子会社資産の含み損を活用した繰戻還付
 連結納税制度の適用開始時(又は連結グループへの子会社の加入時)には子会社の資産を原則として時価評価します。この際に、仮に子会社の資産で評価損が生じた場合には、連結納税の適用開始前(又は加入前) の子会社のその適用開始前(又は加入前)の所得と通算され、結果として子会社において含み損による繰戻還付の効果を享受することができます。
 したがって、不動産業を営むグループで含み損のある物件を抱える子会社があり、現在は安定的に黒字が計上されている場合には、連結納税を導入することにより節税対策として大きな威力を発揮する場合があります。
 また、子会社の資産で評価益が生じた場合であっても、適用開始前(又は加入前)の子会社の欠損金と通算され、子会社の繰越欠損金が消化できると同時に、その資産の売却時の利益を圧縮することができます。
 (制限)
 親会社の資本金が5億円以上ある場合は、子会社の資本金に関わらず繰戻還付が使えませんので注意が必要です。
 また、繰戻還付が受けられるのは「法人税」(国税)部分のみであり、住民税と事業税(地方税)部分については適用がありません。

【連結納税導入のデメリット】
@ 各種制限
 決算期を統一しなければならない、100%子会社という状況を維持しなければならない等、関係会社の運営に一定の制限がかかります。

A 子会社の資産に含み益がある場合
 連結納税に取り込む子会社に含み益があり、それと相殺することが可能な繰越欠損金がない場合、子会社資産の時価評価により、多額の納税が発生する可能性があります。

B 中小企業の軽減税率の適用社数
 中小企業は、年間課税所得の800万円までは軽減税率が適用されます(800万円超は実効税率が約38%ですが、800万円以下の部分は約23%まで軽減されます)。
 この軽減税率は、各社で単独申告をしている場合はそれぞれの会社で使用できるのですが、連結納税をしてしまうと、全体で1社分しか使えなくなってしまいます。
 ただし、親会社の資本金が5億円以上の場合は、連結納税が導入されていなくても子会社は軽減税率が適用されませんので、このデメリットについて考える必要はありません。

C 中小企業の交際費枠の適用社数
 中小企業は、年間の交際費のうち600万円までは90%の損金算入が可能です。この交際費枠は、各社で単独申告をしている場合はそれぞれの会社で使用できるのですが、連結納税をしてしまうと、全体で1社分しか使えなくなってしまいます。
 ただし、親会社の資本金が5億円以上の場合は、連結納税が導入されていなくても子会社は交際費が全額損金不算入となってしまいますので、このデメリットについて考える必要はありません。

D 事務負担及びコストの増加
 連結上の相殺取引を常に把握する必要が生じるため、事務負担は確実に増加します。また、税理士事務所などに支払う報酬も、導入時の一時金の他、月額報酬をある程度支払う必要があります。

【連結納税を導入するのに適したケース】
 以上により、連結納税を導入した方がよいケースは、概ね以下の通りとなります。

@ 親会社がホールディングスであり、多額の繰越欠損金を抱えたまま消化する手立てがない場合。

A 継続的に黒字を計上する会社と継続的に赤字を計上する会社の両方がグループ内に存在する場合。

B 子会社で多額の含み損を抱える資産がありつつ、現在は継続的に黒字を計上している場合。

 以上のようなケースであり、かつ、軽減税率の適用社数や交際費枠の適用社数が1社に絞られても差支えない場合は、連結納税を導入する余地があります。
 
【留意点】
@ 連結納税適用の申請時期
 税務署に対する連結納税の導入の申請は、最初に連結納税を適用しようとする事業年度開始の日の3カ月前の日までに提出しなければなりません。
 つまり、平成25年3月期の決算状況を見て、平成25年5月ぐらいに「適用していたほうがよかった」と思ったとしても、申請期限から1年5カ月も経過しているということです。
 平成25年3月期の決算で適用したい場合は、その1年3カ月前の平成23年12月末までに申請しなければいけないことになります。
 以上より、多くのケースにおいては、連結納税を検討を開始したとしても、翌期の適用は断念し、翌々期ぐらいの適用とならざるを得ないことになるでしょう。なので、多くのグループ企業を抱える会社のCFOは、自社グループに連結納税を導入する時期については、常にアンテナを張っておく必要があります。


参考になるサイト:
税理士法人AKJパートナーズ 連結納税制度の概要
 http://www.akj-partners.com/renketsu-nouzei/index.php


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2012年11月23日

グループ法人税制について


 平成22年度税制改正により、「グループ法人税制」が創設されましたが、これについてはあまりなじみがない方が多いものと思います。これは、100%支配関係のある内国法人を有する企業グループに対しては、そのグループが「連結納税制度」を採用していなくても、「グループ法人単体課税制度」が強制適用することを意図しております。 

 例えば、100%支配グループ内の取引であれば、以下のような取扱いになるため、ほぼ連結納税を採用したのと同等の効果が得られます。
1)グループ内法人間の譲渡取引の損益が繰延べられます。
2)受取配当の益金不算入額の計算の際に負債利子控除が不要になるので益金不算入額が増えます。
3)グループ内法人間の寄附金は支出側は損金不算入、収入側は益金不算入となります。
4)グループ内法人間の現物分配の際に時価評価せず帳簿価額で譲渡したものとして扱います。
5)グループ内法人の株式を発行法人に対して譲渡する場合には、その株式の譲渡損益を計上せず、譲渡損益相当額を譲渡法人の資本金等の額に加減算することとなります。

 グループ法人税制の創設により、従来、連結納税制度のデメリットとされていた規程が単体課税制度の中でも適用されることとなり、連結納税制度導入のデメリットが少なくなりました。加えて、連結納税制度特有のデメリットであった、子法人の繰越欠損金の切り捨ての規定が緩和され、子会社単独で発生した利益は、連結納税制度導入前の繰越欠損金とも相殺可能となったため、連結納税制度を活用しやすくなったといえます。 

【100%支配関係の解釈における注意点】
 寄附金の支出側損金不算入、受取側益金不算入が適用される100%支配関係については、旗艦となる親「法人」によって支配されていることが条件であり、オーナー個人によって支配されている100%支配グループ内については、適用がないので、注意が必要です。これは、親族など個人によって支配されている100%支配グループ内の寄附金についても益金不算入を認めると、相続税や贈与税の恣意的な操作につながる恐れがあるためであると考えられています。

参考になるサイト:
税理士法人AKJパートナーズ 連結納税制度の概要
 http://www.akj-partners.com/renketsu-nouzei/index.php


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