今回の記事は、新規に設立した会社が設立初年度から課税事業者になってしまうケースについてです。
消費税は、前々期(2年前)の課税期間の売上高が1000万円を超えた場合に、はじめて消費税の課税事業者になるというルールが基本です。ただしこのルールだけだと新規設立法人の第1期及び第2期は自動的に消費税の免税業者となってしまいますので、従来は会社を2年ごとに設立しては解散を繰り返す、という消費税逃れが横行しました。また、大企業の新設子会社など設立当初から大きな売上高の計上が見込まれる企業についても2年間免税になってしまってよいのか、という議論もありました。
以上の法律上の不備を補完するため、資本金1000万円以上で設立された会社は設立初年度から課税事業者になる、大企業の子会社は設立初年度から課税事業者になる、第1期から売上がある程度の規模に達した会社は第2期目から課税事業者になる、といった新しいルールが段階的に作られていくことになりました。
以上の流れから、独立して会社を新規設立する際に資本金を1000万円未満にする、というのはポピュラーな消費税対策になっています。
ここで一点注意を要するのは、兄弟会社等で課税売上高5億円以上の会社がある場合です。平成26年4月以降設立される法人から新しくできた制度ですが、もともと課税売上高5億円以上の会社Aを経営しているオーナーが、自身の出資で新規に法人Bを設立すると、会社Bも設立当初から課税事業者になってしまうのです(消費税法第12条の3)。ここは盲点になりがちなので、注意しましょう。
ただし、当オーナーが会社Aを完全支配(親族及び同族会社などで100%持分所有)している場合に限り(これを「特殊関係法人」という)、このルールが適用されますので、会社Aの持分のうち1%でも、同族ではない第三者が所有する場合は、課税事業者を免れることができます。
また、同族は6親等以内の親族及び3親等以内の親族を言うのですが、別生計親族等が支配する「非支配特殊関係法人」が課税売上高5億円を超えていたとしても、会社Bは課税事業者には該当しないこととされています。
すでに大きな会社を経営されておられる方は、以上を踏まえて新規法人の設立をご検討いただければと存じます。
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