以前の記事で、法人で投資用不動産を所有するメリットについて書かせていただいたことがあります(別記事「収益不動産の所有は資産管理会社で」をご参照ください)。
ただし、最初法人所有にする予定の物件を、契約直前で個人所有に切り替えた事例がございましたのでご紹介させていただきます。
そのケースは、オリックス銀行から融資を受けて、投資用アパートを購入する案件でした。オリックス銀行は、ローンの利率が団信込みで設定されており、デフォルトで団信が付いてくるのが特徴です。ただし、今回のケースでは、所有者が個人所有にして団信を取るか、法人所有にして団信をあきらめるか悩んだ末、いったんは法人所有を選択いたしました。
その後、オリックス銀行の審査が進み、「法人所有でも団信は付きます」というお申し出がありました。それを聞いた所有者の方は、当初は「これはラッキー」と思っていたのですが、これには落とし穴がありました。
団信は、不動産の所有者の方がお亡くなりになられた場合、ローンの残債につきその返済が免除される制度です。個人所有の場合は、残された家族が残された債務を負う必要がなくなるので、不動産のみを相続で引き継げばよく、救済措置としての効果を発揮します。
ただし法人所有の場合は、一筋縄ではいきません。残債が免除されると同時に法人に「債務免除益」が計上され、何らかの入金がないにもかかわらず「法人税の納税」が発生してしまうのです。
数千万単位の債務免除益が発生すると、それにかかる法人税もそれなりに大きくなってしまい、結局は投資物件を売却しなければ納税ができないという状況に陥ります。
とある方のアドバイスによりそれに気づいた所有者の方は、最終的に個人所有に切り替えて、再審査を受けて事なきを得ました。ただし、建築確認を法人名義で取得していたので、購入時の登記の際には、少し複雑な手続きを踏むこととなりました。
皆さんも、収益不動産に投資する際に法人所有を検討されることが多いと思われますが、団信の有無について再度ご確認のうえ、最終結論を導いていただければと存じます。
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