昨年は、12月に自民党への政権交代があったため、税制改正大綱の発表は1月下旬にずれ込んでおりましたが、今年は平成25年12月12日に「平成26年度税制改正大綱」がリリースされました。
今回も、ストックの情報として今回の記事で主要な改正点をまとめさせていただきたいと思います。
【所得税】
@ 給与所得控除の圧縮
そもそも、給与所得者の所得税を計算する際に、個人事業者の必要経費部分に相当する「給与所得控除」という金額を収入に応じて、控除します。
給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得 → ここからさらに配偶者控除や扶養控除等が差し引かれた上で所得税率が乗じられる。
この「給与所得控除」の金額が、今後圧縮されることになりました。
●平成27年まで:給与収入1500万円以上の方は、給与所得控除245万円が上限。
●平成28年:給与収入1200万円以上の方は、給与所得控除230万円が上限。
●平成29年:給与収入1000万円以上の方は、給与所得控除220万円が上限。
⇒ 高額所得者にとっては増税となります。
A 新株予約権の発行者引取
権利行使時に経済的な利益に対して課税される新株予約権等で、権利者が行使前に発行元に買取させた場合には、この譲渡の対価が所得となります(給与所得、退職所得、雑所得、一時所得などの区分はケースに応じて考える)。平成26年4月1日以降の譲渡からの適用です。
B 個人の債務免除益に対する評価損の損金算入
事業を営む個人が債務免除を受けた場合で、一般に公表されている債務処理を行うための手続に関する準則に基づき計画が作成されていること、この準則に定められた方法で減価償却資産の評定を行っているときは、資産の評価損に相当する金額を不動産所得、事業所得、山林所得等の必要経費に算入することができる。
C ゴルフ会員権の譲渡損失
損益通算や雑損控除のできない、通常生活で必要でない資産の範囲に、ゴルフ会員権等、趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産が追加されます。平成26年4月1日以降の譲渡からの適用です。
【法人税】
@ 民間企業等のベンチャー企業投資促進税制
ベンチャーキャピタルなどが組成する投資事業有限責任組合(産業競争力強化法の認定を経産省から受けている事が前提)を通じてベンチャー投資を行う企業は、株式価値の下落に備えるため、期末に所有する帳簿価額の80%までを準備金として積み立て、それを損金算入することができます。この準備金は毎期末に積立金額を洗替処理することになります。平成26年4月1日以降に終了する事業年度からの適用です。
A 事業再編促進税制
事業再編に当たって特定会社の株式等を取得した場合(産業競争力強化法の認定を経産省から受けている事が前提)、株式価値の下落に備えるための準備金を期末に所有する帳簿価額の70%まで準備金として積み立て、それを損金算入することができます。この準備金は翌事業年度5年間で均等に取り崩して益金の額に算入していきます。平成26年4月1日以降に終了する事業年度からの適用です。
B 耐震改修投資促進税制
既存の建物に耐震改修を行った場合(法律に基づく診断手続が必要)、取得価額の25%の特別償却が認められます。平成26年4月1日以降に行われた工事からの適用です。
C 雇用促進税制
雇用者給与等支給増加割合の要件緩和
●平成27年4月1日以前に開始する事業年度:2%以上
●平成27年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度:3%以上
●平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度:5%以上
D 交際費等の損金不参入制度
大会社でも50%の損金算入が可能となります。中小企業は、現状800万円まで全額損金算入可能なので、選択制となります。
【相続税】
@ 小規模共済の死亡一時金
生命保険の死亡受取金や死亡退職金とともに、みなし相続財産となるものの、法定相続人一人当たり500万円までは非課税となります。
【消費税】
税率10%導入時に、軽減税率制度を導入します。
【その他】
@ 産業競争力強化法の認定を受けた市区町村で特定創業支援事業による支援を受けて株式会社の設立をする場合は、設立登記の登録免許税が半額になります(最低金額が15万円→7万5000円)。
A 産業競争力強化法に規定する認定を受けた事業者に限り、設立、増資、合併、会社分割などの事業再編に伴う登記の登録免許税が軽減されます。
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私は2014年3月に法人設立を計画している者です。
質問をさせていただきます。
平成26年度税制改正の中で設立登記の登録免許税が半額に
なるとありますが、その恩恵を受けるには、3月の設立では
なく4月の方がよろしいのでしょうか。