2013年08月15日

日本における「贈与」の活用の仕方


 今回の記事は、「生前贈与」の活用について、まとめてみたいと思います。
 日本の相続税率は累進課税でかなり高めですが、贈与税率はさらに高く設定されております。例えば、平成27年からの改正税率によりますと、相続税率は課税資産が6億円超でやっと最高税率の55%に達しますが、贈与税率は課税資産が4500万円超になった段階で、最高税率55%に到達してしまいます。

 このような、相続税以上に高い税率の「贈与」ですが、毎年「110万円」までは無税、ということは皆さんもご存知のことと思われます。これを「暦年贈与」と言います。
 暦年贈与を毎年繰り返すことによって、相続が発生した際の課税資産を少しでも減らしていくというのが最もわかりやすい贈与の活用の仕方です。なお、それぞれが110万円の範囲であれば、複数の人に対して贈与を実行することが可能です。

 「生前贈与」には、上記の相続財産を減らす効果のほか、以下のような利点があります。

● 孫や第三者にも財産を移すことが可能
 相続が発生した場合は、原則として、配偶者や直系親族の子供など、いわゆる相続人の範囲に該当する方に財産が移譲されることになります。
 しかし、贈与の場合は、孫や兄弟や第三者など、相続発生時に相続人に該当しないことが想定される人々にも、財産を委譲することができます。これは、生前贈与を活用する際に考えるべき大きなメリットです。
 例えば、祖父から孫にダイレクトに贈与した場合、祖父から子供、子供から孫へと2段階で相続税が徴収されるよりも、納税額が安くなる可能性があります。
 また、相続開始3年以内に相続人となる人が贈与を受けていた場合、それらの贈与財産は相続財産として遡及計算されます。したがって、110万円以内で無税と思って行っていた贈与も、3年分だけは無効になってしまうのですが、相続の対象とならない人に行っていた贈与は、相続開始の3年前に行っていたものでも無効にはなりません。

● 資産価値の低いタイミングを選んで行うことができる。
 相続については時期を選ぶことができませんが、贈与については自由に時期を選ぶことができます。株式や不動産など、その時々によって評価額が変わる資産については、現状の評価額が低い時に贈与を実行することにより、資産の評価額が上がった将来に発生する相続税よりも、納付額を抑えることができる場合があります。

【贈与を実行する際のポイント】
● 将来に値上がりの可能性の高い資産から優先的に贈与を行うこと。
→ 上記にあるとおり、資産の評価額が低いうちに資産の移譲ができることが贈与のメリットであるため、値上がりの可能性の高い資産を優先的に贈与の対象とすることが基本になります。

● キャッシュ・フローを多く生む資産を優先的に贈与する。
→ 例えば、賃貸アパートやマンションなどの収益物件は、所有している個人の「不動産所得」を生み出します。被相続人(相続の際に死去する人)がずっと収益物件を所有し続けていると被相続人に現預金が蓄積されていき、それも相続の対象となってしまいます。このような資産を早い段階で将来の相続人(資産を引き継ぐ人)にあらかじめ贈与しておけば、不動産所得による現預金の蓄積も相続人に発生するため、将来の相続資産の圧縮効果があります。

● 連年贈与に注意すること
→ 例えば、贈与税を免れるために、毎年きっちりと110万円の現預金を贈与していたとします。例えばこれを20年続ければ、2200万円の財産が、無税で相続人に移譲できることとなります。しかしこの場合、税務署は、「当初から2200万円の財産を贈与する意思があった」ものと認定し、多額の贈与税と加算税を追徴してくる可能性があるのです。これは大きな落とし穴です。
 これを避けるためには、毎年贈与契約書を作成し、金額も微妙に毎年変更するなど、対応策を講じる必要があります。

● 双方に贈与の意思があったという証拠を確実に残すこと。
→ 子供が幼少のうちから、子供の名義の預金通帳を作り、毎年110万円の範囲内で預金をしていくというやり方がありますが、贈与というのは「お互いが事実を認識していること」が法の建前なので、子供が預金通帳の存在を知らなかったり、知っていたとしても通帳と印鑑を親が管理している場合は、税務署に否認されてしまいます。
 これを予防するためには、例えば以下の対策が必要になります。
・通帳や印鑑は受贈者が自ら管理する
・故意に贈与額を110万円以上にし、少額の納税をしてその都度贈与の申告を行い、贈与の事実を確定させる。
・公証役場で贈与契約書の確定日付を取得する。

【その他】
● 配偶者贈与
 婚姻期間が20年を経過した夫婦間において、居住用不動産(もしくはその取得のための資金)が、2000万円の範囲で無税で贈与できます。

●教育資金贈与
 信託銀行を利用することにより、祖父母からの教育資金を1500万円の範囲で孫に贈与することができます。


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posted by ふみふみ at 15:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続対策と事業承継 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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