今回の記事は、会社を設立する際に初年度の決算月をいつに設定すればよいのか、というお話です。
お客様からは、やはり、12月決算もしくは3月決算でお願いします、というご要望をいただくケースが多い傾向にあります。それ以外の、特に決算月にこだわりがないお客様の場合ですが、従来であれば、設立登記日から一番遠い月末(例えば3月中に設立登記したのであれば、来年の2月末が一番遠い月末)にしていただくようにお薦めしておりました。決算月には、どうしても納税や我々に対する申告手数料が発生するので、できるだけ遠い月に設定していただいた方が、お客様のご負担が和らぐからです。
しかし、平成23年6月に消費税法の一部が改正され、必ずしも、設立日より一番遠い月末を設定した方がお客様の負担が一番和らぐ、というわけではなくなりました。消費税の課税事業者になるか免税事業者になるかを判定する際、以前は「2期前の年商(売上高)が1000万円を超えているかどうか」という条件のみで判断しておりました。逆に言えば、設立から2期間は、資本金が1000万円を超えない限りは、免税が約束されていたわけです。(資本金が1000万円を超える場合は、設立初年度から消費税の課税事業者になってしまうので要注意!)
しかし、平成23年6月の改正により、新たに「特定期間」という判定要件が追加されました。これは、「前上半期の年商(売上高)もしくは給与等支払額が1000万円を超えてしまうと、当期が消費税の課税事業者になってしまう」というものです。すなわち、設立の際に話を戻しますと、設立初年度の前半6カ月間だけで、1000万円以上の売上(もしくは給与等)が発生してしまうと、2期目から消費税の納付が発生してしまうのです。
ただし、この2期目からの消費税の課税を回避する方法が一つあります。それは、設立初年度において7カ月以内に決算を迎えることです。この場合、初年度に限り「特定期間なし」として扱われます(消費税法9条の2C三)。この措置により、1期目7カ月間、2期目12カ月間は、消費税の免税事業者としてやり過ごすことが可能になります。
以上より、設立後6ヶ月以内に売上高が1000万円を超えそうな場合に限り、設立初年度は7ヶ月以内に決算期を迎えたほうがよい、ということになりますのでご留意ください。
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