今回は、会社が保険商品を契約する是非について考えてみたいと思います。会社の業績が好調で黒字化した場合、保険への加入を検討されるというのはよく耳にします。会計事務所の中でも、保険代理店とタイアップして積極的に推奨する方針のところがあります。
保険を選ぶ際のポイントは、やはり現状の個人及び法人の状況からして、適正な補償を与えてくれる商品を選択することに尽きると思います。その一方で、保険商品ありきで提案をしてくる営業の方は、「節税になります」ということを切り口にする場合も多いようです。以前は、逓増定期保険を全額損金参入するスキームで法人契約を進める提案が多かったのですが、平成20年の税制改正に伴い、支払保険料の損金算入割合が2分の1になってしまいました。その後、がん保険を全額損金算入するスキームが流行りましたが、これも平成24年度の税制改正で損金算入割合が2分の1になってしまいました。
その後は、完全な掛け捨て型保険でなければなかなか全額損金算入も厳しいので、「2分の1も損金算入できるので節税対策になりますよ。」という言い方が主流になってきているようです。
最近、クライアント様と立て続けに保険の是非を議論する機会がありました。一つは、平成20年の税制改正前に逓増定期保険と積立保険を組み合わせたスキームで税務調査を受けた際のこと、もう一つは現在、逆ハーフタックスプランの提案を受けているクライアント様とのやりとりです。それについては、別の記事で詳しく考察したいと思います。
私は、節税ノウハウを提供することを職業としているものの、節税目的ありきで保険商品を契約ことには懐疑的な考えを持っています。その場合、どちらかというと、補償内容そのものというよりは、満期返戻金をどのように受け取るかということに主眼が置かれており、話を聞くと「合法的横領」に近いスキームのものも存在しますので、税務調査の際に本当にセイフティーと言い切れないものもあるように見受けられます。それよりは、
・ 退職金の積立をどの様に準備するか?
・ 代表者、役員、従業員の福利厚生プランをどうするか?
・ 死亡保険金の準備、医療保険の準備をどうするか?
などを、正面から向き合って検討し、全額積立で加入するもの、2分の1損金で加入するものなどを、会社の状況に合わせて選択していくやり方の方が自然な経済行為で無理がない気がします。
また、医療保険は終身払いで加入すると解約返戻金がないので全額損金計上で良いはずです。
保険を契約する際は、保険の本来の目的を見失わないように、慎重に考えてから選択することを原則として心掛けましょう。
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