2012年11月21日

節税対策法人の設立について

 
 会社を経営する場合、コアな事業法人1社で経営するというパターンの他、節税対策法人を別に設立する場合もあります。今回は、この件について考察していきたいと思います。

 事業法人の規模が拡大して従業員の増加が進み、また資本提携等により外部の株主が加わったりすると、従業員の目、株主の目、というものを意識して会社を運営していかなければならなくなってきます。会社のコンプライアンスにそれなりに気を遣わなければいけなくなるため、すべてが社長の思い通りに、というわけにはいかなくなります。たとえば、従業員や外部株主の目がある中で、飲食による交際費を付け過ぎると、士気の低下や株主からの信用失墜を招きますので、自重も必要になります。
 そこで、以前から行われている一つの方法として、オーナー個人が支配する法人(以下、「個人支配会社」と言います。)を設立し、その個人支配会社が事業法人から経営指導料名目で売上高を計上し、今までの事業法人では付けづらかった経費を個人支配会社で付けるようにするというやり方があります。ただ、このスキームさえ組めばすべてが正当な処理として認められるわけではありません。このスキーム自体が認められるためには、いくつかのハードルをクリアーしなければなりません。

【節税対策会社の存在意義】
 まず第一に、個人支配会社の存在意義、目的に経済合理性があることが問われます。例えば、全く別の新規ビジネスを立ち上げる目的で設立されたのであれば、そのために必要な経費は、税務上も損金として認められるでしょう。それ以外のケースとして考えられるのは、資産管理会社、持株会社、経営コンサルタント会社などの名目で個人支配会社を設立する場合です。こちらのケースでは、本当に会社の設立に経済合理性があるのか、その根拠づけが必要になります。
 例えば、持株会社の出資先(子会社)、経営指導による売上先が複数存在し、その傘下の会社がそれぞれ別々の事業を行っていたり、別々の地域で事業を行っているのであれば、持株会社としての形式要件は一応整っているものと言えるでしょう。
 ただし、投資先が従来の事業法人1社のみであったり、個人支配会社における売上が従来の事業法人からの経営指導料1本のみであったりするとると、会社を2つに分けている意味がそもそもあるのか、と存在意義が問われることになります。

【存在意義が否認された場合】
 実質一つの会社を経営しているも同一であると判断されてしまった場合、以下の判定を受けることになります。
 まず、事業法人から個人支配会社に支払われる経営指導料についてですが、実質的に、役員に対する報酬と判断されることになるでしょう。ここで、毎月の支払額が定額であれば実質役員報酬(定期同額給与)、という考え方も成立しますが、毎月の支払額に変動があると、変動部分は定期同額給与の超過部分として損金不算入、場合によっては支払額全体が役員賞与認定とされてしまう可能性も否定できません。なので、最低限、毎月の支払額を同額にしておくことを推奨いたします。また、役員報酬であると認定した場合、源泉税を徴収していない点をどう考えるのかという問題も残りますが、もし個人支配会社の方で、経営者個人に役員報酬を支払い源泉税を納付しているのであれば、ある程度この問題は回避できると考えられます。
 また、個人支配会社で計上している経費についてですが、仮に事業法人と同一体だったとして、事業法人の事業遂行のために必要な研究開発、市場開拓費、諸経費であるとみなされるのであれば、経費としての正当性はあると思われますが、明らかに不要と思われる内容の経費であれば、事業法人から個人支配会社への寄付金と認定される可能性が高いでしょう。  

【気を付けるべき点】
 以上をまとめますと、節税対策会社の設立スキームにおいては、ただ会社を作ればいいというわけではなく、以下の点を気を付けなければいけません。

@ 節税対策法人が、従来の事業法人とは別のビジネスを事業として運営していることが理想。
A 別のビジネスが用意できない場合は、持株会社として複数以上の投資先、複数以上の経営指導先があることが理想。
B 投資先、経営指導先が、従来の事業法人しか用意できていない場合は、スキームが否認される可能性も考え、被害を最小限に食い留めるために経営指導料を毎月定額にすること。また個人支配会社で計上する経費も事業法人の経費として説明可能なものに留めること。
C 可能であれば、個人支配会社と事業法人との支配関係を100%の完全支配関係にすること。これにより、グループ法人税制が適用されるので、経営指導料の正当性が否定され寄付金とみなされたとしても、100%支配関係に基づく寄付金の損金不算入、受贈益の益金不算入の規定が適用されるので個人支配会社で益金を否認できる可能性が残る。

 グループ法人税制については、別の記事で説明させていただきたいと思います。


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posted by ふみふみ at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | グループ化による節税スキーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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