2012年11月13日

IPOについて


 私は、2000年に8年間勤め上げた監査法人を退職して、公開準備会社に転職いたしました。その当時は、ちょうどマザーズやナスダックジャパン(その後、大証ヘラクレスを経て現在は新ジャスダック)が創設され、現状で利益が出ていない会社でも将来性の高いビジネスモデルさえ持っていれば、上場の道が開かれた時期でもありました。ベンチャーキャピタルにも投資意欲があり、ITブームが全盛期となりました。新興市場に上場した企業が、次の公開予備軍に投資をして新たな上場会社を育成するという連鎖が成立していた時期でもありました。私は、自分が転職した公開準備会社が上場した後は株式公開準備のコンサルティングを主たる業務として独立させていただきました。リーマンショックの直前までは、IPOコンサルティング及び上場後の開示書類(有価証券報告書や決算短信など)の作成支援業務が売り上げの大きな柱でした。

 ただし、リーマンショック及びその際に起きた株式市場の大規模な縮小によって、IPOコンサルティングのニーズも大きく落ち込み、世の中の株式公開に対する考え方は一変しました。時代の寵児と言われた新興企業のオーナーの中には、自らの所有する上場企業の株式価値が100分の1近くにまで減少し、個人的に苦しい資産状況に追い込まれる方も出て参りました。売り上げが大きく減少するばかりでなく、上場維持コスト、四半期開示制度、次年度公表予算を達成できなかった際の株主対応など、負担ばかりが残ってしまい、あえて非上場化の道を選択する企業も少なくありません。

 日本には、非上場を維持する大企業が数多くあり、その中には100年以上に渡り国の根幹を支えている企業も存在します。その場合、一族の経営が代々維持されているケースが多く、社会貢献を果たすとともに一族の末永い繁栄にも寄与しております。その一方で上場企業は、安定株主対策を上手に行うこと、また上場後の維持コストに耐えられる企業体制を構築することが求められますので、一族の繁栄を支える器という意味ではよりハードルが高くなります。ただし、相続が発生した際に、株式の売却等がスムーズになるというメリットはあります。
 
 日本でIPO華やかなりし頃は、アメリカ型の「会社をIPOさせたら全部持分を売却処分して次のビジネスを立ち上げる」というやり方に違和感を覚えておりました。何となく、会社を途中で売ってしまうという行為が無責任な気がしていたのです。ただし、最近は、会社をIPOさせるまでの過程が得意な方と、上場後に会社を維持、発展させることが得意な方は、明確に役割が分かれるのではないかと思うようになりました。最近日本では、「株式上場なんか何のメリットもない。」と言われて、ベンチャーキャピタルから資金調達をした企業以外は、動きが鈍くなっているようです。ただし、アメリカ型のように、上場を実現できたら真のパブリックカンパニーに成長させるためにリリースする、潔く持分を売却、というのも一つの考え方なのかもしれません。この場合は、企業を上場させる行為に意欲を燃やすタイプの方は、上場後の煩わしさ等は度外視してひたすら上場を目指せばよいことになります。上場後の企業を伸ばすことが得意なタイプの社長は世の中に一杯いらっしゃいますので、割り切ってその方にバトンタッチをすればよいのです。
 
 私が所属する税理士法人AKJパートナーズも株式上場支援を行っております。
 サービスの詳しい内容につきましては、ホームページをご覧いただければと存じます。

税理士法人AKJパートナーズホームページ:
 http://www.akj-partners.com/ipo/

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