日本は、過少資本税制を採用しているので、外国資本の日本法人の運営については注意が必要です。外資系の企業等が海外の親会社等から資金を調達する場合、資本として調達する場合と借入により調達する場合の2通りが考えられます。ただし、このどちらを採用するかで、日本法人が日本で納付する税額に大きな影響を及ぼします。もし借入で調達して、その借入金の利息が通常の借入金利息と同様に損金に計上可能だとしたらどうでしょう。
そもそも日本法人が外国親会社に利息を支払うこと自体が海外への資金の流出ということになりますが、借入金利息の損金効果が国内での所得をさらに圧縮し、日本国内での納税額が減少してしまいます。逆に言えば、外国親会社の存在する国での納税額が増えるわけです。国によっては、税率や免税措置に差があるので、この国際間のグループ会社貸借スキームを使用すれば、国際的な税負担を軽減することも可能になってきます。
日本においては、平成4年の税制改正により「過少資本税制」が導入されております。その概要は、
・日本法人の50%以上の株式等を有する国外支配株主等からの借入金が、
・その日本法人の自己資本の3倍を超えている場合において、その超過額に対応する支払利息につき、損金不算入となる、
または、
・国外支配株主等からの借入金利息が、税務上の課税所得金額(特殊な計算過程あり)の50%を超過する場合、その超過額について損金不算入となる、
というものです。
最近は、経済活動のグローバル化が進み、欧米だけではなくアジア諸国などの外国法人の協力を経て日本法人を設立するケースも増えてきているものと思われます。その際には、資本金と借入金のバランスについて注意しながら資金提供を受けるようにしましょう。
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