わが国では、内国法人の稼得した所得に対して全世界所得課税の制度を採用しているため、どこの国で稼得した所得であろうと日本の税制で課税対象にしてしまおうという考え方が根底にあります。いわゆる属人主義です。その一方、所得が発生した地域で課税を行うことを原則とする考え方を属地主義と言い、この方式を採用している国もあります。
したがって、例えば外国で所得が発生した場合、属地主義を採用している外国で課税され、さらに日本国内の申告でも属人主義的に課税されてしまうと、国際二重課税の問題が生じます。この二重課税を排除・軽減する制度として、外国税額控除制度があります。
外国税額控除制度は、種類として次のものがあります。
(1) 直接外国税額控除
海外売上から控除された源泉税など、外国で直接納付した外国税額を、日本国内における確定申告の際に納税額から控除する制度
(2) 間接外国税額控除
外国の子会社等が納付した外国税額のうち内国法人が受ける配当に対応する部分を控除する制度。平成21年の税制改正で外国子会社益金不算入の制度が採用されたことにより、3年の経過措置を経て廃止されることになりました。
(3) みなし外国税額控除
開発途上国等においては自国の経済開発促進の為に外国企業の誘致の手段として租税の減免措置がとる場合が多くありますが、その開発途上国等において減免措置がなかったとしたならば納付したであろう租税を外国法人税額等とみなして先進国側で外国税額控除を行う制度です。
(4) 特定外国子会社等に係る外国税額控除
内国法人がタックス・ヘイブン対策税制の適用を受けて特定外国子会社等の留保金額について合算課税の適用を受ける場合に、その特定外国子会社等の所得に対して課される外国法人税額があるときは、その外国法人税額のうち課税対象留保金額に対応するものとして計算した金額を、その内国法人が納付する外国法人税額とみなして、法人税額から控除する制度です。
次回の記事以降で、廃止になる間接外国税額控除以外の制度について、詳しく解説していきたいと思います。
参考になるサイト
国税庁:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1240.htm
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