2012年11月08日

今は繰越欠損金のある会社を買収しても使えない


 以前は、繰越欠損金のある会社を買収して節税対策をするという手法がありましたが、現在はその利用に制限が加えられています。以下に説明する規制により、以前は盛んであった欠損金を有する企業を買収しその会社に事業を移すことで課税所得の圧縮を図ろうとする繰越欠損金を利用した租税回避スキームが、かなり制限されておりますので注意が必要です(法人税法 第57条の2)。

【繰越欠損金が使用できなくなる要件】
 使用制限が発生するのは、特定の株主によって50%超の株式を直接・間接に保有されている会社です。
 繰越欠損金を有する法人(以下、「欠損等法人」)において、特定支配関係(50%超の持株関係)が生じた後5年以内に、以下のいずれかに該当する場合は、該当日の属する事業年度以降において、それ以前に生じた欠損金を繰越すことができません。

1. 欠損等法人が、特定支配日の直前において事業を営んでいない場合において、特定支配日以後に事業を開始すること
⇒ つまり休眠会社を買い取って事業を開始させても、休眠会社の繰越欠損金は使えない。

2. 欠損等法人が、特定支配日の直前において営む事業のすべてを、特定支配日以後に廃止し(または廃止することが見込まれている場合)、旧事業の特定支配日の直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金の借入または出資を受け入れること
⇒ 買い取った会社の事業を廃止させ、廃止した事業規模の5倍を超える多額の資金を注入した場合は、従来の事業で発生した繰越欠損金は使えない。

3. 特定支配関係者等が、欠損等法人に対する債権を取得している場合において、欠損等法人が旧事業の特定支配日の直前における事業規模のおおむね5倍を超える資金借入等を行うこと
⇒ 買い取った会社に対する債権を保有しつつ、事業規模の5倍を超える多額の資金を借り入れをさせる場合は、従来の事業で発生した繰越欠損金は使えない。

4. 上記1、2、3のいずれかに該当する場合において、欠損等法人が自己を被合併法人(消滅会社)とする適格合併を行い、または欠損等法人の残余財産が確定すること
⇒ 合併によって消滅する場合もアウト。

5. 欠損等法人が特定支配関係を有することとなつたことに基因して、欠損等法人の特定支配日の直前の役員のすべてが退任し、かつ、特定支配日の直前において欠損等法人の業務に従事する使用人(旧使用人)の総数のおおむね20%以上に相当する数の者が欠損等法人の使用人でなくなり、旧使用人が従事しない事業の事業規模が、旧事業の特定支配日の直前における事業規模のおおむね5倍を超えること
⇒ 従来の事業を継続したとしても、旧役員の退任、従業員の20%以上の退職・配置転換が行われ、かつ従来の事業の5倍を超える新規事業が行われるようになった場合は、従来の事業による繰越欠損金は使えない。

 逆に言えば、特定の株主によって50%超の株式を直接・間接に保有される場合ではないこと、もしくは従来の事業をほぼ同じ状態で継続するのであれば、従来の繰越欠損金の利用は可能であります。繰越欠損金のあるか会社を引き取る場合は、その後の状況によって利用が可能かどうかが変わってくるので、注意しましょう。

参考になるサイト
 国税庁:http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5762.htm


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posted by ふみふみ at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | うっかりすると追徴課税です | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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