2012年11月02日

決算賞与による節税


 「今年は利益が大きく出そうなので何か節税策はないだろうか? ただし、売掛債権の回収が遅れているので、支出は来月(翌期首月)にしたい・・・。」という場合。

 そんなときは、従業員の皆さんに決算賞与を翌期首月に支給することにして、決算で未払計上するという方法があります。不景気の折、給料のベースアップもなく定期賞与(夏季、冬季)も減額されている会社も多いことと思います。多額の利益が見込める期に、従業員に利益を還元することは労働意欲の向上のためにも有効であり、節税効果も備わるのであれば、一石二鳥と言えるでしょう。

 決算賞与を未払の状態で、当期の損金(費用)に算入するためには、以下の3要件を満たす必要があります。
@ 決算日までに決算賞与の支給額を各人別に受給者全員に通知していること。
A 決算日後一ヶ月以内に受給者全員に支払っていること。
B 決算で、その決算賞与の額を経費(損金経理)として処理していること。
(法人税施行令第72条の3第2号イ)

 @については、決算日までに各人別に受給者全員に通知することとなっているので、各個人別にいつまでにいくら支払いますよ、という通知を提示し、署名捺印をもらっておくと、後々税務調査などでの確認書類となります。一部の人だけへの通知や、総額でいくら支払いますよ、といった通知では要件を満たしていないことになりますので注意が必要です。

 Aについては、決算後1ヶ月以内に銀行から振込支給しておけば、支給の証拠となります。
 現金で支給する場合は、従業員から受給確認書類にサインをもらっておいたほうが良いでしょう。

【注意事項!】
 決算賞与については、実は落とし穴があります。以下の場合、損金算入した決算賞与全額が認められません。

・会社の就業規則等で、支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合、その支給額の通知は上記@の通知に該当しないとされています。(法人税基本通達9−2−43)
 結果的に、全員に支給していたとしてもアウトです。なので、就業規則を作成する際には、「『夏季賞与及び冬季賞与においては』支給日に在職する使用人のみに賞与を支給する」と表現したり、決算賞与については別の条文を設けるなど、工夫が必要になりますので、注意しましょう。

・また、決算日後一ヶ月以内に、たった一人にでも支給できなかった場合や通知した金額と異なる金額を支給した場合、その一人分だけではなく、決算期に計上した賞与全額が否認されてしまいます。

 なお、決算賞与はすべての社員に対して一律に支給しなくても構いません。会社への貢献度などを考慮して、支給額に変化をつけることも可能です。
 経営陣が支給する意図をしっかりと説明して、社員の貢献に対する感謝の意を表し、従業員のモチベーションのアップと企業業績の更なる向上を目指しましょう。
 例えば、3月決算の会社で、例年6月の賞与を4月に前倒支給して決算賞与にしているところがありました。損金算入の要件は満たしていたかもしれませんが、社員の皆さんの反応は冷ややかなものとなりました。もともと給与や賞与の支給はセンシティブな話であり、会社の都合のみで社員への支給方法を変更するのはモチベーションにも影響を与えるので注意が必要です。


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posted by ふみふみ at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 法人所得の節税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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