さて、ファンドを組成した場合、物件を取得するビークル事態は得られる収益をパススルーでファンドの組合員に配分するだけですので、ビークル自体には課税されず、ファンドの組合員(投資家)がそれぞれ分配された収益に基づき納税を行うことになります。
ただし、ビークル(ファンド)で収益が計上されるタイミングと、その収益に基づき投資家にキャッシュが配分されるタイミングには、タイムラグが生じます。投資家は、ファンドから分配金を収受していない場合であっても、ファンドの損益が確定した時点で、自己に帰属する損益につき申告納税を行う必要があります。なので、ファンド運営者は、ファンドで利益が発生した場合には、速やかに資金を各投資家に分配し、各投資家の納税財源を補充する必要があります。
ファンドに利益が出ている場合はいいのですが、損失が出ている場合はどうなるでしょう。不良債権ファンドや開発系のファンドの場合は組成後しばらくは収益が上がらず、損失がしばらく続く場合が一般的でしょう。ファンドに損失が発生している場合は、追加でキャッシュを投資家から徴収せず、当初に投資家から募った出資金の範囲で繰越損失を計上し、将来収益が発生して過去の繰越損失を解消してから収益の配分が行われるのが一般的な処理なようです。
この場合、ファンドに損失が発生しており、まだ投資家とキャッシュのやり取りが発生していない段階であって、投資家はファンドから損失の計算書を入手することにより、自身の損失として会計処理することができ、税務上も認められます(ただし、出資金を超える損失計上はできません)。
投資家側の会計処理として、PLとして計上する収入、損失と、現金として分配を受けるキャッシュの動きは、必ずしも一致しないのでご留意ください。
<<<「投資ファンドビジネスについて」の記事一覧 へ戻る
<<< 「ブログの目次」 へ戻る
【関連する記事】