2012年10月31日

投資ファンドを組成するメリット


 弊事務所では、投資ファンドの設立、運営をよく依頼されます。投資ファンドを組成するメリットとは何でしょうか。例えば、不動産投資をしたいけれど、一人では買えない金額である場合、複数の出資者が共同して資金を一つの会社(ビークルと言います)に投じ、その会社で不動産を購入し、その不動産から上がる収益を出資割合に応じて分配することができるのであれば、投資がし易くなるでしょう。それが、投資ファンドを組成するメリットの基本です。そして、投資ファンドを組成する際の絶対条件として、不動産を所有するビークルそのものには課税をされず(パススルー)、収益の配分を受ける各投資家に課税がなされる、という仕組みを構築する必要があります。

 投資ファンドの組成の仕方にもいくつか方法があります。

・「投資事業有限責任組合契約に関する法律」 ⇒ 投資事業有限責任組合(LPS)
・「民法」 ⇒ 任意組合(NK)
・「資産の流動化に関する法律」 ⇒ 特定目的会社(TMK)
・「会社法」 ⇒ 匿名組合(TK)

 LPSは、主として非上場会社の株式に投資する際に用いられますので、ベンチャーキャピタルなどが公開準備会社の株式への投資を行う際に組成されるケースがよく見受けられます。この、LPSを組成した場合は、毎年1月に税務署に対して、組合員名、各組合員に帰属する財産債務や損益等を記載した調書を提出する義務があります。

 NKは、株式公開(IPO)ビジネスが華やかなりし頃、株式公開コンサルタント会社などが自身で公開準備企業に株式投資をする手法として多く使用されました。ベンチャーキャピタルほどの組織化された会社でなくても、手軽にファンドを組成する手法として以前は多用されておりました。しかし、平成19年に金融商品取引法が施行されてからは、NKを組成するにも第二種金融商品取引業の免許が必要ではないかという見解が主流になり、また、IPOビジネスも沈静化したこともあるので、最近はあまり見受けられなくなりました。

 TMKは、根拠となる法律の名の通り不動産の流動化、証券化のために使用される形態です。投資家への配当を損金算入できる、登録免許税や不動産取得税の減免措置があるなど税務上の優遇はあるものの、計算書類を作成しなければいけない、監査役を選任しなければいけない、原則として監査法人監査を受けなければいけない、法律事務所に資産流動化計画の作成を依頼しなければいけない、など、様々な制約があり、コストも割高になりがちなので、大規模な投資案件でなければ、最近はなかなか利用されなくなって参りました。

 TKは、投資ファンドを組成する際に最も利用される形態です。TMKのような制約はなく、またLPSやNKのように組合員を2人以上揃えなければいけないわけでもないので、他の形態に比較して使い勝手が良いというのが特徴です。なお、デメリットとしては、収益の配当を受ける際に20%の源泉徴収をされてしまうことがあげられますが、源泉徴収をあくまで一時的なキャッシュアウトと捉えるのであれば、それほどのマイナス要因とはならないでしょう。

 弊事務所では、ファンドの組成業務、アドバイス業務、記帳業務、税務申告業務を請け負っておりますので、ご興味のあるお客様はお気軽にご相談をいただければと存じます。

                       
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posted by ふみふみ at 18:02| Comment(1) | 投資ファンドビジネスについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
吉村先生

ブログ拝見しました。
事業会社が自己資金のみでベンチャー企業に投資する場合、CVCなどのファンドを組成することがあると思いますが、事業会社が直接直接投資する場合と比べて、ファンドを作る意味(メリット)はあるのでしょうか?
Posted by 溝口貴之 at 2018年06月23日 21:16
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