2013年09月26日

仕事で使っているのに落とせない経費


 独立起業して順調にお得意様が増えていくと、だんだん法人及び個人の金回りがよくなります。そうなってくると、サラリーマン時代には手が出せなかった高級スーツ・革靴・時計などをついつい買ってしまう方が多いようです。
 スーツや革靴などはほぼ仕事でしか使わないのだからと、喜び勇んで経費で落としたくなりますが、残念ながらこれらのものは経費にならず、税務調査で否認されて追徴課税を食らうことになります。そこには、経費につけられない明確なロジックが存在し、ほとんど抵抗のしようがありません。

 独立して会社を設立すると、経営者は役員報酬という形で給料を受け取ることになります。所得税法でいう「給与所得」というやつです。この給与所得をもとに個人の所得税が計算されるわけですが、給与収入と給与所得の違いを知らない方が意外に多いようです。
 個人事業主は必要経費を付けられるのにサラリーマンが必要経費を付けられないのは不公平だという考えのもと、給与所得者の税率を計算する際はサラリーマンの給与収入に対して一定の掛け目を入れて減額し、それに所得税率を乗じます。この一定の掛け目を入れて減額されたものが「給与所得」なのです。
 この減額の割合は国税庁のホームページも記載されていますが、例えば給与収入が500万円の場合、給与所得は346万円と計算されます。この差額の154万円の部分が、スーツや革靴などの必要経費を見込んだ減額部分です。
 すなわち、最終的な個人の給与所得の計算で減額がされるにもかかわらず、さらにスーツ代や革靴代を会社の経費につけてしまうと、二重に経費を付けてしまっていることになるのです。

 高級スーツや高級時計、高級靴などは、金額が張るので、経費として非常に魅力的であり(それゆえにすぐ発見されてしまうのですが。。。)、ついつい経費にしてしまいがちになりますが、将来的な税務調査が入った時の追徴課税は、否認される金額が高額である分、大きく跳ね返ってきます。
 特に5年ぐらい遡及されてしまうと、過少申告加算税(10%か15%)や重加算税(35%)よりも、延滞税(14.6%×期間)の方がきつくのしかかってきます。奥様の買い物まで経費につけていた場合は、かなりの痛手をこうむります。
 例えばついつい調子に乗って、毎月いろいろな個人的支出を経費に付けてしまい、月50万円の経費を重加算対象で5年間分否認されてしまったら、重加算税や延滞税込の追徴税額は1800万円を超えることになります。

 結局、源泉税や住民税が増えるものの、役員報酬の金額を増額して、個人の預金で購入していた方が安全だったというケースは少なからずありますので、時には自重も必要かと思います。


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2013年09月19日

所得税率と法人税率の分岐点


 以前の記事においても法人化のメリットをテーマとして取り上げ、節税についても触れさせていただきましたが、今回の記事では、具体的に「税率の分岐点」に焦点を絞って解説していきたいと思います。

 日本では(大多数の国でそうですが)累進課税の制度を採用しているため、収入が増えるほど税率が段階的に上がってしまう仕組みになっております。一方で、法人税率について言いますと、所得(利益)が800万円までの中小法人でこそ軽減税率が設けられておりますが、原則として固定された税率です。したがって、事業が拡大して利益額が増えていく場合、どこかの段階で個人事業から法人成りした方が、納税額を抑えられることになります。これが、芸能人などの高額所得者の方々が法人を設立する理由です。

【個人事業の場合の所得税率】
 
 まず、個人の所得税(復興所得税含む)については、以下のように段階的に税率が上がります。
● 195万円以下            5.105%
● 195万円超 330万円以下  10.210%
● 330万円超 695万円以下  20.420%
● 695万円超 900万円以下  23.483%
● 900万円超1800万円以下  33.693%
●1800万円超4000万円以下  40.840%
●4000万円超            45.945%

 ちなみに、所得に一律10%の住民税も課されますので、住民税を加算しますと以下のようになります。
● 195万円以下           15.105%
● 195万円超 330万円以下  20.210%
● 330万円超 695万円以下  30.420%
● 695万円超 900万円以下  33.483%
● 900万円超1800万円以下  43.693%
●1800万円超4000万円以下  50.840%
●4000万円超            55.945%

 結局、最高税率が約56%となります。なお所得が上がると健康保険料も上昇するので、実際の手取り額はさらに低くなることになります。


 
【法人の場合の実効税率】

 次に、法人税率について考えます。ここでいう法人税率は中小法人の実効税率(法人税+法人住民税+法人事業税)のことです。

● 法人税率:
 所得800万円以下の部分    15.0% (16.50%)
    それ以外             25.5% (28.05%)
( )括弧書き:平成25年3月期から平成27年3月期は、復興特別法人税が加算され、1.1倍

● 法人住民税率:
 東京都の場合、法人税額×20.7%
 ※ 均等割は除く。

● 事業税率:
 所得400万円以下の部分    2.7% ×81%  (2.95% ×81% )
 所得800万円以下の部分    4.0% ×81%  (4.365% ×81% )
 所得800万円超の部分      5.3% ×81%  (5.78% ×81% )
( )括弧書き:売上2億円以上もしくは所得が2500万円以上となった場合、超過税率加算
 ※ 81%:地方法人特別税率

 
 以上を踏まえた中小法人の実効税率は以下の通りとなります(事業税の超過税率の場合を除く)。

 所得400万円以下の部分     21.92% (23.35%)
 所得800万円以下の部分     23.63% (25.03%)
 所得800万円超の部分       36.84% (39.16%)
( )括弧書き:平成25年3月期から平成27年3月期は、復興特別法人税が加算される。

 
 したがって、中小法人の場合は、所得が800万円を超えた場合こそ、約37%の税率ですが、800万円を超えないように上手くハンドリングすれば、23%台の税率で済むので非常に税率が安くなることになります。また、法人の所得が増える分には、社会保険料が増額されることはありません。


 
【法人化の分岐点】

 以上により、以下の式が成立します。

 
所得330万円以下の所得税率(住民税含む)  20.21%
           <
所得800万円までの法人実効税率         23.63%
           <
所得330万円超の所得税率(住民税含む)    30.42%

 もちろん、法人を設立するには登記費用が掛かりますし、設立後は均等割の7万円と税理士への申告依頼費用も掛かりますので、所得が330万円を超えてすぐ法人化した方が得というわけではありませんが、以外に低い水準の所得のうちから、法人化を検討する価値があることになります。
 

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