2013年04月10日

不動産所得を圧縮して節税するための管理会社を設立することについての考察


 今回は、不動産所得を圧縮する節税について考えてみます。
 アパートやマンションなどの収益物件をお持ちの方は、個人所有という形で始められるケースが多いと思います。この場合個人に家賃収入が入ってきますので、不動産所得として確定申告を行うことになるのですが、@個人の不動産所得においては経費として付けられる項目が非常に限定されること、A所得税は累進課税なので、所有物件が多くなると税率が跳ね上がること、などに不便を感じるようになります。

 なので、ある程度収益物件が増えてくると、法人を使用した節税対策を考えるようになります。この場合、主に2つのパターンに分かれます。
● 物件は個人所有のままで、新規設立法人にサブリースもしくは管理料を支払う方式にし、個人の不動産所得を圧縮する。
  → 以下、「管理型法人」と言います。
● 物件を新規設立法人に所有させ、個人は役員報酬や給与として収入を得るようにする。
  → 以下、「所有型法人」と言います。

 法人設立のメリットは、主に以下の通りです。
@ 個人の不動産所得の申告に比較して、経費が付けやすい。
 → 法人として事業を維持管理するという観点から、経費の幅が広くなります。
A 贈与などを得ずに、所得を分散することが可能。
 → 法人から配偶者や子供に給与を支払うことにより、不動産収入を所有者本人以外のものに徴収させることができます。
B 法人の実効税率は、年間800万円ぐらいの利益までは、24%ぐらいです。
 → 個人所有の累進課税の税率よりは、かなり低くなります。

 さて、次に「管理型法人」と「所有型法人」のうちどちらを選択すべきかについてですが、すでに個人で不動産を所有されている方が事後的に節税対策を考える場合、「管理型法人」を採用するケースがほとんどだと思われます。物件を個人から法人に譲渡すると、登記費用や不動産取得税がかかりますし、ローンを付けてくれている金融機関にも許可をとらなければなりません。登記留保のまま所有権を移転したと主張するのであれば、ある程度の金額を取得代金として法人から個人に支払う方がよいのですが、節税目的で設立した法人にいきなりまとまった現金があるケースは稀だと思います。

 なので、管理型法人が世の中には多いのですが、自分の所有する物件を自分もしくは自分の親族が管理の体裁をとっているというのでは、実質名目だけの管理会社だと見られるリスクは付きまといます。税務署の中でも議論があるところであり、過去においては賃料収入の10%〜20%ぐらいまでは管理料として法人が徴収するのを黙認していたケースもあるようです。しかし、平成18年に国税不服審判所で下記の裁決があり、雲行きは怪しくなって参りました。

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 「請求人は、自己が所有する本件賃貸不動産について、不動産管理契約に基づき同族法人A社に管理業務を委託し、また、A社においても管理業務の実績があるから、A社に対する本件不動産管理料の支払額(賃貸収入金額の10%)は、必要経費に算入されるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件賃貸不動産については、@A社の管理業務とされる定期的な清掃業務等は、別途、不動産管理会社に委託している管理業務と同一のものであり、当該不動産管理会社において本来の業務として行われていることから、当該管理業務をA社に委託する客観的必要性は認められないこと、A本件賃貸不動産の敷地内の看板には、上記不動産管理会社名が明示されており、A社が賃借人及び第三者の窓口等となっている事実は認められないこと、BA社においては、管理業務を実施した記録がなく、A社が管理業務を実施したことを客観的に認めるに足る証拠は認められないことなどからすれば、A社が本件賃貸不動産に係る管理業務を行なったことを認めることはできない。
 したがって、本件賃貸不動産に係る本件不動産管理料を不動産所得を生ずべき業務の遂行上生じた費用と認めることはできない。」(平18. 6.13 熊裁(所)平17-17)

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 結局、通常の管理会社に別途管理料を支払っており、それが賃料の5%ぐらいが相場なので、その管理会社以上に何もやっていない個人的な「管理型法人」にそれ以上の管理料を支払うという立てつけはおかしい、と言うことです。
 その一方で、所有型法人であれば、賃貸収入を法人が得て、役員報酬や給与として親族に支給するということが不自然なく実行できるので、リスクは格段に下がると言えます。

 なお、土地部分が個人所有であれば、「小規模宅地等の特例」が使用できる可能性があり、相続において有利となりますが、法人に所有させる場合、個人は「法人の株式」や「法人に対する貸付金」が相続財産となります。株式や貸付金は不動産を直接所有する場合のような評価減メリットを享受できないので、110万円の贈与枠の範囲で株式や貸付金を贈与する方式で節税対策をとることになります。特に相続開始3年前の贈与は遡って取り消されて相続財産としての扱いを受けてしまうので、相続人以外の者、例えば子供の配偶者や孫に対して贈与すると効果的です。


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posted by ふみふみ at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 資産形成コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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